二つの振り子

力学


同じ長さのひもに同じ構造のおもりを2つ取り付け、一方を自然にたらし、もう一方だけ僅かに引っ張ってから離すとそのあとどうなるか。初めの衝突直前の速度を\(v_0\)、反発係数を\(e\)とし、空気抵抗は無視する。
1.初めの衝突後の2つのおもりのそれぞれの速度を求めよ。
2.2回目の衝突後のそれぞれの速度を求めよ。
3.3回目の衝突後のそれぞれの速度を求めよ。
4.十分時間が経った後のそれぞれの速度を求め、どのような運動であるか説明せよ。

解法
振り子の振幅は等時性が成り立つほど小さいと考えられるので、衝突は半周期ごとに常に最下点で起こると考えてよい。
1.1回目の衝突直後の速度をそれぞれ\(v_a’, v_b’\)とすると、

\(v_A’+v_B’ = v_0,\hspace{10pt} v_B’-v_A’ =ev_0\)

\(\therefore v_A’ = (1-e)v_0 / 2, \hspace{10pt} v_B’ = (1+e)v_0/2\)

2.半周期後には速度が逆向きとなった状態で衝突するので、2回目の衝突直後の速度をそれぞれ\(v_a^{”}, v_b^{”}\)とすると、

\(v_A^{”}+v_B^{”} = ev_0,\hspace{10pt} v_A^{”}-v_B^{”} =e^2v_0\)

\(\therefore v_A^{”} = -(1+e^2)v_0/2, \hspace{10pt} v_B^{”} = -(1-e^2)v_0/2\)

3.さらに半周期後には速度が逆向きとなった状態で衝突するので、3回目の衝突直後のそれぞれの速度は、

\(v_A^{”’} = (1-e^3)v_0/2, \hspace{10pt} v_B^{”’} = (1+e^3)v_0/2\)

となる。

4.十分に時間が経った後のそれぞれの速度を考えるためには、\(n\)回目の衝突直後のおもりの速度を無限大に発散すればよい。\(n\)回目の衝突直後のおもりのそれぞれの速度は、

\(v_A^{n} = (-1)^{n+1}(1+(-e)^{n})v_0/2\)

\(v_B^{n} = (-1)^{n+1}(1-(-e)^{n})v_0/2\)

\(e<1\)なので、最終的に衝突直後の速度は、

\(\displaystyle \lim_{n \to \infty}|v_A^n| = \lim_{n \to \infty}|v_B^n| = v_0/2\)

つまり、十分時間が経った後では、2球はくっついて一緒に運動しているように見える。

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